タイトル:この夏の星を見る
出版社:KADOKAWA
著者:辻村深月
(あらすじとかは公式サイトよりどうぞ)
新型コロナウイルスの流行に伴い、「青春」と呼ばれるものに制限かかけられてしまった学生たちの物語。
タイトルの通り、「星」を見ることが今回最大のメインテーマです。
明確に一人の主人公がいるわけじゃなく、登場人物全員が主人公。
場所や年齢が違う学生たちが大人の力も借りつつ繋がっていき、観測会をやるんです。
特に良いな~って思ったのがですね、星を見ることがテーマなんですよ。
この数年で一気にオンライン会議等が広がりましたが、繋がりっていう視点から見るとどうしても薄くなると思うんです。
画面上ではあるけれども顔が見えていても、なんだかうまく言語化できない薄さって言うのを感じたことがある人って多いと思います。
そこで「星」です。
少々クサいセリフにはなりますが「たとえ離れていても同じ空の下で一緒だよ」を文字通り体現しています。
どういうことかというと、オンラインでつなぎつつみんなで同じ星を探す「大会」をやるというのが最大のメインエピソードなんです。
もちろん地域によって多少見えるようになる時間のずれはあれど、同じ星が見えます。
つまり、繋がっていないように感じる環境であったとしても、「同じものを見ている」という一体感を得ることができるんです。
それを星の観測会という舞台を使ったのは本当にすごかったです。
また、メインの登場キャラクターは高校生・中学生です。
その学生たちのコロナにおける葛藤がリアルで、読んでいて少ししんどくなるくらい。
一方で大人にも刺さります。
これはどんな書き方をしてもネタバレみたいになっちゃうので、あれです。
是非、読んでください笑
本書のタイトルの通り「この夏」にこそ読んでほしい一冊だなあって思いました。
いや~辻村さんの作品は本当に好きです。
がわ